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~第二回コラム~ 成形材料に添加される各種添加剤について・・・

2016.01.20(水)

☆添加剤について

添加剤(配合剤)は、材料への要求性能がポリマーあるいはプレポリマー単独では満たせなかったときに配合します。配合のタイミングは、成形材料を造るときと、さらにこれを成形加工する場合とで、主な添加剤には、①可塑剤・②安定剤・③滑剤・④抗酸化剤・⑤紫外線吸収剤・⑥難燃剤・⑦着色剤・⑧造核剤・⑨蓄電防止剤・⑩架橋剤(硬化剤)・⑪発泡剤・⑫抗菌・防塵剤・⑬相溶化剤、⑭充てん剤などがあります。

それぞれ添加するタイミングや添加剤の量も異なっており、材料への要求性能に合わせて使用します。

今回は①~⑦までの添加剤について解説したいと思います。

可塑剤

主にPVC(ポリ塩化ビニル)に加えて、ガラス転移温度の低下による加工温度領域の低下と製品の柔軟化に役立つ、各種フタル酸エステル(代表例:フタル酸ジエチルヘキシル(DOP))やリン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油などが用いられる。軟質PVCでは樹脂100部に対して約50部もの可塑剤が転化混練されており、可塑剤添加量の増減により硬度を大幅に調整することができます。

安定剤

熱安定剤は主にPVCの加工時(通常150℃以上)における熱安定性を付与する。適切な無機塩、金属石けん、有機スズ化合物などが用いられ、添加割合は樹脂100部に対して3部前後です。安定剤の添加なしにPVCを加熱すれば、分子内から塩化水素の脱離を起こし、樹脂は黄色から褐色、さらには黒色へと変化してしまいます。

滑剤

成形材料の加工に際し、材料間の摩擦や、材料と成形機の金属面との摩擦抵抗が溶解樹脂の流動性を損ねます。滑材はその摩擦抵抗を低下させ、流動性を改善する働きをしてくれます。流動パラフィンやポリエチレンワックスのような炭化水素、ステアリン酸カルシウムのような金属石けん、ほかにアミド類、脂肪酸エステルや多価アルコールエステルなどが滑剤として用いられています。樹脂と相溶性がある滑剤は樹脂100部に対し1部程度添加され組織内部に入り込んで樹脂の流動性を改善します。(内部滑剤)相溶性のない滑剤は0.5部程度加えられ、表面に侵出して金属面との滑りを改善します。(外部滑剤)滑剤にはフィルムなどの表面状態を改善したり、ブロッキング防止の働きもあります。

抗酸化剤

酸化防止剤ともいわれており、プラスチックは空気中の酸素やオゾンで酸化され、強度の低下、ひび割れ、着色、電気絶縁性の低下を起こしますが、とくに加工時の熱、紫外線、水などによって酸化は促進されます。抗酸化剤はこのような劣化、変質を予防するためのもので、抗酸化剤としてはアルキルフェノール、アルキレンビスフェノール、アルキルフェノールチオエーテル、β,β-チオプロピオン酸エステル、有機亜リン酸エステル、フェノール・ニッケル複合体などがあります。

とくに酸化を受けやすい汎用樹脂はPPとPEですが、ほかの樹脂にも適用されます。酸化防止の機構は、酸化の過程で発生するラジカル連鎖の禁止、発生過酸化物の分解、酸化を促進する重金属の除去のいずれかに基づいています。

紫外線吸収剤

プラスチックやゴムに対して有害な紫外線を吸収して無害なエネルギー(大部分は熱)として放熱させ、劣力を防止する物質です。蛍光性が皆無かほとんどない有機化合物が紫外線吸収剤として用いられ、多くの場合成形材料にあらかじめ練りこまれています。サリチル酸エステル、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒンダードアミンなどが有効です。

難燃剤

プラスチック成形材料は有機高分子なので可燃性のものが多いですが、厳しい難燃性を要求される用途に向けた製品をつくるには難燃剤を外部から添加するか、あるいは難燃性元素を高分子に結合させる必要があります。難燃剤としてはたとえばトリス(β-クロロエチル)ホスフェートのようなリン酸エステルや、塩素化パラフィンのようなハロゲン化炭化水素、また酸化アンチモンやジンクボレートのような無機化合物があり、さらにポリウレタン樹脂との反応性をもつ難燃剤として含リンポリオールがあり、ポリエステルの原料としても使える四塩化無水フタル酸や四臭化無水フタル酸などがあります。

ハロゲン系難燃剤では燃焼に際して起きる気相での遊離ラジカル生成を抑止することによる燃焼防止、リン系難燃剤では防火性のチャー(焼け焦げ・炭)の生成を促して燃焼中の高温部分から未燃焼部の隔離を図り、無機系の難燃剤では結含水を分離して燃焼雰囲気中に水を放出するとともに雰囲気の温度を下げる働きをします。ハロゲン系などのように単独使用では効果が少ないものは、アンチモン化合物と併用して相乗効果を発揮させる場合もあります。

着色剤

着色剤はプラスチックを着色するほか、光の遮断、反射、吸収によって製品に耐光性を付与する役割もあります。少量で鮮明に着色すること、分散性がよいこと、毒性がないこと、耐熱性、プラスチックの分解を促進しない、移行性がない、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性などが要求されます。種々の色相を示す着色剤はドライカラー、リキッドカラー、潤性カラー、マスターバッチ、ペーストカラーなど種々の形態で使われます。

プラスチックの着色には基本4種類の方法がありますが、(マスターバッチ・練り込み法・顔料表面コート・ドライブレンド)黒着色などはマスターバッチまたは練り込みが多く、カラフルな色は色の選択が比較的容易な表面コート法が中心となっています。

プラスチックは本当に奥が深いですね。ここまでで半分の添加剤の解説が終了しました!

次回のブログ更新で残り半分の解説をしたいと思います。長々とお読み頂きありがとうございました。

 

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