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~第1回コラム~ 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との違い・・・

2015.12.07(月)

テーマ:熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との違い

今日はよく質問を頂きます、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との違いについて、各樹脂の特徴や名称などと一緒にお話ししたいとおもいます。

○熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂は、加熱すると軟化・流動して可塑性を示し、冷却すると固化します。ここで可塑性とは、材料が応力を受けて弾性限界を超えた変形を自在に行い、応力を除去しても形状を保持する性質のことです。一方で弾性限界が高い材料は大幅に変形しても復元し、エラストマー(ゴム)と呼ばれプラスチックと区別されますが、近年、熱可塑性を示すエラストマーの一群が発展し熱可塑性材料の仲間入りをしています。

主要な熱可塑性樹脂には石油化学工場で大量生産され、安価で、種々の方面に広く用いられる汎用プラスチックと呼ばれ、PE,PP,PVCおよびスチレン系樹脂(GPPS,HIPS,AS,ABS)が四大汎用プラスチックでわが国プラスチック生産量の7割程度を占めています。

また、汎用プラスチックよりも強度と耐熱性に優れた工業部品材料であるエンジニアリングプラスチック(通称エンプラ)があり、1956年にアメリカのデュポン社が開発したPOMを「金属を代替できるエンプラ」と称したのが最初で、近年「エンプラとは構造用および機械部材用に適した高性能プラスチックで、主に工業用途に使用され、長期間の耐熱性が100℃以上」さらに「引張り強さが50MPa以上、曲げ弾性率が2400MPa以上」という定義が提案され、加えて衝撃・疲労・クリープ・摩耗などに強く、寸法安定性も概して優れています。エンプラは、さらに「汎用」エンプラと、より耐熱性に優れた「特殊」または「スーパー」エンプラとに分けられます。汎用エンプラにはPA/POM/PC/PBT/m-PPE/GF-PETがこれに準じ、スーパーエンプラはPPS/PAR/FR/PAI/PI/PEI/PEK/PEEK/LCP/PSF/PESを指し、耐熱性に優れるが価格は高くなります。この内PPSは汎用エンプラに準じるという見解もあります。

熱可塑性樹脂が熱硬化性と異なる点は、成形工程で化学変化とか分子量の変化を原則的に起こさないことで、射出成型や圧縮成形の成形サイクルは一般に短く、また押出成形やカレンダ加工など同一断面形状の成形品の連続生産に適しています。フィルム、シート、チューブ、中空成形品など一次成形品を再度加熱して、最終形状を与える二次加工や溶接、成形不良品やスクラップの再成形が可能で、加工上の利点も多いですが、製品の硬度、耐溶剤性、耐熱性などは熱硬化性樹脂製品より劣るといえます。

○熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂は官能基をもつプレポリマー(重縮合中間生成物)を主成分とする反応性混合物で、熱可塑性と同じく加熱により軟化・流動しますが、次第に三次元網目構造を形成する架橋反応を起こして硬化します。種類により、骨格となる化学構造や官能基の種類が異なり、成形加工法も製品物性も相異します。中には硬化促進剤を用いて熱を加えることなく硬化する樹脂系もあり、(例:ポリウレタン樹脂、ハンドレイアップ用不飽和ポリエステル樹脂など)これらも同じく熱硬化性樹脂と呼ばれます。

熱硬化性樹脂の成形工程で、液状の成形材料は常温で容易に型内注入や強化材含浸ができ、固体成形材料でも加熱して軟化流動させ加圧化に賦形ができます。しかし時間経過とともに熱や触媒の作用による三次元硬化反応が始まり、組織が不可逆的に変化する点が熱可塑性と異なります。硬化が十分進めば高温でも変形しないため、成形品は金型を冷却することなく取り出せ、必要とあれば後硬化(ポストキュア)させます。最終品はもはや不溶・不融です。硬化樹脂は三次元網目構造のため表面硬度が高く、耐溶剤性、耐熱性、機械的強度などの諸点で熱可塑性樹脂より優れるとされていますが、反面、工場で排出されるスクラップや廃棄製品のリサイクル再成形はできません。

代表とされる熱硬化性樹脂にはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられます。

 ○まとめ

プラスチックの種類を大別すると、チョコレートとクッキーとに分かれるとよく言われますが、ここまでのご説明でどちらの樹脂がチョコレートかクッキーかがお分かりいただけましたでしょうか? 昨今では単にコストパフォーマンスだけの観点にとどまらず、各樹脂の特徴を生かした製品設計やそれに伴う環境側面への配慮なども望まれており、21世紀に相応しい高度なプラスチック技術の確立が期待されています。

弊社でも各メーカー様から頂くお見積りの依頼がより高度化しており、今後もお客様のご期待に応えられるよう日々技術を磨いてまいります。

以上で第1回コラムを終わりたいと思います。

今後もプラスチックの知識について頻繁に更新していけたらと思いますので、宜しくお願い致します。

 

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